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2020311
日産自動車の100%子会社であり、全世界に展開されているデザイン拠点の一つ。モーターショーに出展されるコンセプトカーのデザインや、CG・グラフィック・ブースなどの空間デザインなど多岐にわたるアドバンスデザインを担っている。
もともとカーデザイナーは「プロダクトデザイナー」であり、モノをカタチにするのが仕事。「このモノづくりの楽しさを共有したい」という思いから、「“真空成形”を体験してもらうのが一番楽しいのではないか」と考えました。結果、「カタチになる瞬間」を子どもたちと共有できるワークショップを想定し、手軽に体験ができる機械を開発することに。知人の縁で具現化工場に訪問したことをきっかけに、この事業がかたちになっていきました。
真空成形機の試作品を、具現化工場を運営するラヤマパックの社長さんに見せ、「真空成形って楽しいですよね〜!」という他愛もない会話から「もっとみんなで楽しんでもらえるものにしよう」という話に発展。当初は、量産というよりも「どのようにしたら、真空成形を題材に子どもたちに楽しんでもらえるか?」というところがテーマでした。基本的には当社で開発をおこない、具現化工場側からは、うまく真空成形するための空気の流れなど、技術的なアドバイスをもらいました。MDF(木質板材の一種)のカット加工などの設備を活用することで開発がスムーズに進み、量産品の一部製造・販売も担ってもらっていることで、販売につなげることができそう、というところまできました。
多大なるサポートにより、量産品の発売まであと一歩というところまで漕ぎ着くことができました。価格設定では、具現化工場が加工作業を負担してくださることで、なんとか購入してもらえる戦略的な価格に収めることができたと思っています。
「真空成形を手動で」という発想はなかったので、聞いたときには驚きました。試作段階では、本体カバーを真空成形でつくったり、構造が見えるように工夫をしたり、という作業をともに相談しながら進行。本体部分にMDFを加工したパーツを取り付けることになり、レーザー加工をおこなう毎日が続きました。しかし、1台に使用するパーツ点数が多く、加工中に一部が折れるなどの加工不良が発生し作業は難航。レーザー出力やスピードを調整することで、なんとか安定した加工が可能になり、量産体制に入ることができました。
また、当初は製品本体へのロゴやキャラクターを入れる作業を、ひとつひとつレーザーで彫刻していました。ただ、加工時間は1枚あたり約20分とかなり非効率的だったため、他の方法を検討することに。幸運にも、ちょうどシルクスクリーンの機械を購入するタイミングと重なったため、方針を変更。効率・スピードUPが実現しました。長年の経験による技術力と、豊富な機材ラインナップが功を奏した事例だと思います。